top of page

QUESTIONS

[本会議質問]

​森髙康行議員の質問 令和5年12月2日

​森髙康行議員の質問 令和4年12月2日

​森髙康行議員の質問 令和2年3月6日

1. 平成の時代総括と令和の時代展望について

2. 大規模災害の発生に備えた自衛隊との連携について

3. 海外との経済交流について

4. 青年海外協隊の活用について

5. 三島川之江港金子地区国際物流ターミナルの

    ガントリークレーン整備の進捗状況等について​

6. 新居浜特別支援学校分校の開設に向けた進捗状況等について

7. 県立土居高校について

8. 赤石五葉松盆栽の海外販路拡大に向けた取組状況等について

​質問1

平成の時代を振り返り、どう総括されるのか。また、令和の時代をどう展望されるのか。

 質問の第1は、平成という時代についてであります。
 昨年は、実に約200年ぶりとなる天皇陛下の御譲位があり、まさに歴史の節目の年でありました。平成の御代が平和に終わり、令和の新時代が静かに始まった年でもありました。私にとりましては、学生時代に取り組んだ元号法制化運動の時代と異なり、新元号である令和が、実に率直に各方面から受け入れられていることが新鮮でありました。このことは、上皇上皇后両陛下の30年にわたる平和の祈りと国民に寄り添うお姿がなさしめたものであり、御即位された天皇皇后両陛下の決意も深く、国民から歓迎されていることのあらわれであると思います。
 さて、平成という時代を振り返ってみますと、私にとりましては、外すことができないテーマが災害であったと思います。
25年前の平成7年に発生した阪神・淡路大震災は、私にとって、大変衝撃的な出来事として胸に刻まれました。
 以来、県会議員としてのライフワークにもなりつつありますが、阪神・淡路大震災からの教訓を学ぶため、当時、兵庫県北淡町の消防団員であった米山さんを招き、地元消防団への研修を重ねるとともに、現地にも何度となく足を運ばせていただきました。平成17年に県議会議長に選出いただいた際には、防災議長と呼ばれたいと訴えて、当時新設された危機管理室と熱心に議論を交えたことを覚えております。
 その後、平成23年には東日本大震災が、平成28年には熊本地震が発生しましたが、いずれも積極的に現地を訪問させていただきました。特に、東日本大震災においては、発災直後の5月に自民党県会議員の有志5名で現地を訪問して以来、公私合わせて16回の現地入りを重ね、私なりに被災地の皆さんの声や課題などを受けとめさせていただきました。そうした経験から、ことしで9回目を数えますが、毎年、地元の皆さんを対象とする防災セミナーを開催してまいりましたが、ことしはコロナ対策での延期をしておりますけれども、一昨年の西日本豪雨災害や発生が予想される南海トラフ地震など、大規模災害に備えるための地道な活動を続けてまいった次第です。
 私にとって平成という時代は、災害に向き合い、地元を中心に災害への備えを訴えてきた時代だったと思うのであります。
 明治は遠くなりにけり、大正はロマンに満ち、昭和は激動であったとも言われておりますけれども、知事は、平成の時代を振り返り、どう総括されるのか。また、令和の時代をどう展望されるのか。率直な見解をお聞かせ願いたいのであります。

■答弁者:神野一仁副知事

 まず、平成の総括と令和の展望についてのお尋ねでございました。平成の約30年間、我が国は戦争の災禍こそ免れたものの、阪神・淡路大震災や東日本大震災など、多くの大規模災害に見舞われるとともに、経済の長期低迷や人口減少の急速な進行、さらには社会保障経費の増加に伴う財政状況の悪化など、さまざまな困難に直面した時代であったと認識をいたしております。

この間、本県では、芸予地震や相次ぐ台風彼害への対応を初め、地方の生き残りをかけた大規模な市町村合併や財政構造改革など、身を切る改革に取り組みますとともに、特に、中村知事就任後の県政運営におきましては、本県の自立的発展に向けて、さまざまな地域課題に、県みずからが責任と覚悟を持って取り組むという姿勢を強く打ち出し、防災・減災対策、人口減少対策、地域経済の活性化を県政の3本柱に位置づけまして、何よりも成果を重視しながら、地域資源等を生かした独自性のある施策を積極的に展開してまいりました。

 令和の時代には、最優先の課題である西日本豪雨災害からの創造的復興はもとより、南海トラフ地震への備えや東京オリンピック・パラリンピック大会後を見据えた経済対策、また、急速に進化するデジタル技術への対応など、待ったなしの課題にも向き合う必要があり、今後とも、県民の幸せと地域の発展を第一に考えながら、オール愛媛の体制でこれらの諸課題を克服していくことで、県民の皆さんが誇りと希望を持てる、ふるさと愛媛の実現に取り組んでまいりたいと考えております。

​質問2

大規模災害の発生に備え、自衛隊との連携をどのように強化していくのか 

 質問の第2は、防災・減災対策における自衛隊との連携強化についてであります。
 去る2月3日から5日まで、県議会防衛談員連盟の一員として、九州各地の自衛隊駐屯地をめぐりました。それに先立つ1月25日に、四国県議会防衛議員連盟の集いに参加して、元隆上幕僚長による大変興味深い講演を拝聴した上での現地訪問でありましたが、日ごろ、テレビや新聞等から知り得る情報とは異なり、我が国を取り巻く状況は変化し、想像以上に各国との緊張が高まっていることを知りました。そして、その中で自衛官の方々が大変な覚悟のもと、最前線で頑張っていてくれておるということを、改めて認識することができたのであります。参加された議員各位も同様の感想を持たれたであろうと思います。
 こうした対外的緊張の中にありながらも、残念ながら国内では、相次ぐ豪雨や地震など、大規模災害による自衛隊の対応も毎年のこととなり、コロナ対応もそうでありますが、今や自衛隊は、防災・減災対策になくてはならない存在になっていると思います。
 一昨年の西日本豪雨災害においては、人命救助はもとより、給水や入浴支援、防疫活動など、自衛隊には多岐にわたる方面から多大な御尽力をいただきました。防衛議連の視察では、西日本豪雨災害の際に、西予市野村町に派遣いただいた部隊に対し、厚くお礼を伝えさせていただきました。
 近年、激甚化する災害が全国各地で頻発している中で、またいつ西日本豪雨災害のようなものが本県を襲うとも限りませんし、南海トラフ地震においては、西日本豪雨を超える甚大な被害が予想されています。県民の生命、財産を守る観点から、特に、初動対応における自衛隊の活動は必要不可欠であり、その重要性は一層高まっていると考えるのであります。
 そこで、お伺いいたします。
大規模災害の発生に備え、自衛隊との連携をどのように強化していくのか、明らかにされたいのであります。

■答弁者:福井琴樹防災安全統括部長

県では、大規模災害時の人命救助や入浴支援など、初動対応において中心的な役割を果たす自衛隊との連携が極めて重要であると認識し、総合防災訓練や原子力防災訓練等を通じて、平素から顔の見える関係構築に努めております。

一昨年の西日本豪雨では、発生直後から松山駐屯地を初め、全国各地から延べ2万人を超える際員の方々が派遣され、多様な業務に従事いただき、改めて自衛隊の役割の大きさを痛感したところでございます。

このため、今後とも総合防災訓練等において、近年の大規模災害から得られた教訓を取り入れて、初動体制の構築を中心とした実践訓練を積み重ねますとともに、県内の約半数の市町で実施されている自衛隊と連携した防災訓練を他の市町にも実施するよう呼びかけますほか、防災関係機関が参加する会議や研修を通じて、自衛隊の役割等について理解促進を図るなど、オール愛媛で自衛隊とのさらなる連携強化に努めていくこととしております。

さらに、近い将来、南海トラフ地震の発生が危惧されます本県にとって、喫緊の課題であります松山駐屯地の拡張につきましても、防衛省への要望活動により、国の来年度予算案に用地取得費等が計上されましたことから、地元自治体と連携し、災害発生時の迅速な部隊展開のための東温スマートインターチェンジ方面へのアクセス道 路整備も含めて早期実現を目指すなど、自衛隊との連携協力のもと、本県の防災・減災対策の充実強化に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

​質問3

東南アジア等の地方政府との提携による経済交流の促進に今後、どのように取り組んでいくのか 

質問の第3は、海外地方政府との提携による経済交流の促進についてであります。
 潜在成長率の高い東南アジアへの日本企業の進出が加速する中、いよぎん地域経済研究センターが実施している県内企業の海外進出状況調査においても、製造拠点を中国から東南アジアへシフトさせている動きが続くとともに、販売拠点も、東南アジアを中心に増加しているとのことであり、県内企業にとって、東南アジアは最も魅力ある進出先となっております。
一方で、本年1月の日本経済新聞に、シンガポールのシンクタンクが行った、東南アジアの官民を対象とした意識調査で、同地域で経済的影響力を持つ国は中国であるとの回答が79.2%と最も多かったのに対し、日本はわずか3.9%であったとの報道がありました。また、現地に進出した県内企業からは、政府の強力な支援を受けて海外進出を進める中国や韓国の企業のアグレッシブさやしたたかさに、日本企業は完全に押されているといった声も耳にし、日本企業が東南アジアのビジネスで勝ち抜くためには、企業努力に加えて、国や自治体が相手国との緊密な関係を築き、現地での日本の存在感を高めていくことが重要であると思うのであります。
こうした中、県では、平成24年度から東南アジア、東アジアにおける県内経済団体の経済交流ミッションにあわせて、中村知事が先頭に立って、トップセールスやビジネス商談会を実施するなど、主に県内ものづくり企業の海外進出を後押ししてこられました。その結果、成約に至るまでに多くの時間と労力を要するものづくり分野において、さらには海外市場ならではのさまざまなハードルがある中にあって、県が関与した海外成約額は、累計で55億円を超えるなど、着実に成果を積み上げられています。
さらに近年は、東南アジア等における地方政府との提携を強化されており、昨年1月には、インドネシアの南スラウェン州と人材の受け入れや水産加工など、幅広い分野で関係強化を図る趣意確認書を締結されたほか、昨年5月には、経済交流協定を締結して、それぞれ二十数年を迎える中国大連市及び遼寧省との間で、介護人材の交流育成の強化を含む友好交流関係の協定への格上げを行われました。また、本年1月には、カンボジアにおいて、県人の高山良二氏が、長年にわたり地雷除去などの活動を続けてきたバッタンバン州を訪問し、現地政府と友好交流・協力活動の構築に関する覚書を締結されたところであります。
急速なグローバル化により、県内中小企業においても、外国企業との競争が避けられない状況にある中、企業の海外展開や外国人材の確保を後押しするため、知事みずからが現地を訪問され、県と各国の地方政府がしっかり結びついた上で、県内企業の事業展開を支援していく取り組みは、企業の不安や障壁を解消する有効な手段として考えられ、大いに期待を寄せているところであります。
そこで、お伺いいたします。
県は、東南アジア等の地方政府との提携による経済交流の促進に今後、どのように取り組んでいくのか、明らかにされたいのであります。

■答弁者:神野一仁副知事

県内企業による東南アジア等への海外展開には、現地の行政手続の不透明さなどのリスクが依然として大きいことから、経済団体の海外ミッションに知事が同行して、政府機関へのトップセールスや現地企業との商談会等を実施してまいりましたが、昨年度からは、本県と縁の深い地方政府との協定を締結し、互恵的な友好関係を築いた上で、県内企業の販路開拓や人材確保等を後押しする取り組みを強化しているところであります。

 議員のお話にもございましたが、昨年1月に趣意確認書を締結したインドネシア・南スラウェシ州との間では、県内企業が、現地で水産養殖・加工事業を行うため、現地責任者の養成を目的に同州の高度人材を雇用して、水産現場で研修を実施しておりますほか、食品加工を含むものづくりや建設分野などの技能実習生受け入れの仕組みづくりを協議しているところであります。

 また、中国大連市及び遼寧省とは、介護人材の県内養成施設への受け入れ拡大などを進めておりますほか、去る1月に覚書を締結したカンボジア・バッタンバン州とも、現地農産物を活用した食品加工の分野を柱に連携を進めることといたしております。

 引き続き、各地方政府との協定締結が、県内企業によるビジネス創出から技能人材の受け入れまでを広く支援し、互いに経済的メリットを享受できるローカル・ツー・ローカルの戦的な事業展開につながるよう、取り組んでまいりたいと考えております。

​質問4

外国人労働者等へのサポートを含め、帰県した青年海外協力隊員の活用について、県としてどのように考えておられるのか

質問の第4は、えひめ海外協力大使を委嘱している、青年海外協力隊員の活用についてであります。
先ほどの質問にも関係してきますが、東南アジアを中心とした海外地方政府との経済交流により、外国人材の受け入れを進められていることは、本県企業に必要な人材の確保や交流の面から大変重要であると考えております。その成果もあってか、本県で働く外国人は、確実に増加しており、本年1月に愛媛労働局が発表した愛媛県の外国人雇用状況の届出状況によると、令和元年10月末時点の本県における外国人労働者数は、前年同月比で1,408人増の9,784人となるとともに、外国人を雇用している事業者数も162カ所増の1,677カ所となっています。また、国別に見ても、最も多いベトナムを初め、中国やインドネシアのほか、数多くの国から受け入れを行っている状況にあります。
 さて、本県では、毎年約10名程度、世界各国に青年海外協力隊員を派遣しているところでありますが、派遣された協力隊員は、現地の言葉のみならず、文化や習慣等に対して理解を深めており、その国との交流を進めていく上で有益な知識や経験を得て帰県されています。私自身、長年この青年海外協力隊にかかわってきた経験から、大変優秀な人材が多いことを実感している次第であります。こうした人材の活用に当たり、海外の地方政府との交流などを通じて、増加している外国人労働者を初めとした、本県在住の外国人のサポート役として活用することが効果的ではないかと考えるのであります。
 帰県した青年海外協力隊員を活用できるような体制を整えることで、本県在住の外国人にとっては、自国のことを理解している人に相談等ができる安心材料にもなりますし、雇用している企業にとっても、そのサポートにより、働きやすい環境づくりができるなどといったメリットがあり、その効果は大きいと思うのであります。
 そこで、お伺いいたします。
 外国人労働者等へのサポートを含め、帰県した青年海外協力隊員の活用について、県としてどのように考えておられるのか、明らかにされたいのであります。

■答弁者:田中英樹経済労働部長

本県からの青年海外協力隊員は、これまで四国4県で 最多の651名が80カ国に派遣され、派遣国の環境や教育、スポーツなどさまざまな分野で国づくりや人づくりに貢献いただいており、県では、隊員の出発、帰国時に激励、慰労するとともに、派遣国と本県との友好親善のかけ橋としてえひめ海外協力大使に委嘱しているところでございます。

 帰国後は、隊員の大多数の方が、派遣前に在職した企業、団体に復職されたり、グローバルな視野を持った人材として、新たな企業等の社員として採用されておられますが、本県でも、さまざまな国から外国人労働者等の受け入れが拡大しておりますことから、帰国隊員が、堪能な語学力やコミュニケーションスキル等を活用し、外国人材の受け入れ・共生分野で活躍したいと希望される場合は、県としても、関連する県内企業・団体等への仲介など、その活動を積極的に支援したいと考えているところであります。

今後とも、JICAや県青年海外協力隊を育てる会、県青年海外協力協会、県国際交流協会等とも連携し、帰国隊員の意向も踏まえながら、その貴重な海外経験が最大限生かせるよう取り組んでまいりたいと考えております。

​質問5

三島川之江港金子地区国際物流ターミナルのガントリークレーンの整備の進捗状況と整備による効果はどうか

質間の第5は、三島川之江港におけるガントリークレーンの整備についてであります。
 昨年、東予東部圏域の3市を中心に、219日間にわたって開催されたえひめさんさん物語は、11月24日、盛況のうちに閉会しました。地元の四国中央市では、製紙工場の煙突を使った工場のおしばいや紙の衣装をまとった舞台紙のサーカスなど、紙のまちならではのイベントが展開され、地元住民の方々も、改めてその魅力を再発見できたのではないかと思います。
 この紙のまち四国中央市の北東部に位置する重要港湾三島川之江港は、県内で最も深い水深15mの岸壁を有しており、四国の大動脈であるエックスハイウェイの結節点に位置する地理的優位性を生かし、製紙関連産業の発展や、本県の経済を支える重要な物流拠点としての役割を担っています。近年、製紙関連企業の活発な経済活動により、原材料や紙製品の出荷数量が順調に伸びたことから、三島川之江港の平成30年のコンテナ取扱貨物量は11万個を超えるなど、13年連続で四国1位を維持し、昨年の大手製紙会社の新工場完成などもあり、貨物量は今後、ますます増加すると見込まれております。
 このような中、県におかれましては、金子地区国際物流ターミナルを整備し、コンテナと一般貨物の混在や、背後の荷さばき地不足の解消に取り組まれておりますが、ターミナル内には、平成24年10月に設置されたハーバークレーン1基しかなく、荷役機械の能力不足のため、貨物の積み残しやコンテナ船の沖待ちが発生している状況であります。
このため県では、昨年度の9月補正予算により、新たなガントリークレーン導入のための基本設計を官民連携で実施し、今年度からは国の補助事業を活用して整備を進め、来年度には整備が完了するものと認識しております。
 そこで、お伺いいたします。
 三島川之江港金子地区国際物流ターミナルのガントリークレーンの整備の進捗状況と整備による効果はどうか、明らかにされたいのであります。

■答弁者:杉本寧土木部長

三島川之江港のコンテナ取扱最は、活発な企業活動により、この10年間で約2倍と大幅に増加し、慢性的な貨物の滞留が生じており、荷役効率の向上が急務でありますことから、県では、四国中央市や地元経済界からのガントリークレーン早期整備要望も踏まえまして、今年度、国の補助事業採択を受け、整備を進めているところでございます。

 昨年10月には、製作据えつけ工事の契約を締結し、現在は詳細設計を終え、2月から、工場でクレーンのアームなど、主要部材の製作を進めており、来年度は、工場で本体の組み立てを完了させ、海上輸送の後、現地で据えつけを行い、令和2年度内の完成を目指しているところでございます。

 ガントリークレーンの整備により、コンテナの荷役時間の短縮による物流の効率化、船舶の大型化による輸送コストや環境負荷の低減などの効果が見込まれるほか、企業の海外へのさらなる販路拡大による増産にも対応可能となるなど、その効果を最大限発揮し、地元製紙関連産業の競争力向上を後押しできるよう、引き続き、一日も早い完成に努めてまいりたいと考えております。

​質問6

新居浜特別支援学校分校の開設に向けた進抜状況と、分校開設後に期待される教育効果はどうか

質問の第6は、新居浜特別支援学校の分校開設についてであります。
 近年、子供を取り巻く社会、教育環境は大きく変化しており、少子化の影響で義務教育段階での児童生徒数が減少する中、障がいのある子供たちについては、より専門的な教育を受けたいと望む声も多くなり、全国的に特別支援学校で学ぶ児童生徒は増加傾向にあります。
本県においてもその傾向は同様で、県内の特別支援学校の在籍者数は現在約1,500人と、この10年間で1.4倍に増加しており、その中でも特に、知的障がい者を対象とした特別支援学校における児童生徒数の増加が著しく、教室不足が年々深刻化している状況であります。
このため、県教育委員会におかれては、地域の実情等を踏まえ、平成23年度に新居浜特別支援学校を、平成24年度にはみなら特別支援学校松山城北分校を開設するとともに、今年度にはみなら特別支援学校に新校舎を建築するなど、教室不足の解消に精力的に取り組んでこられましたが、新居浜特別支援学校においては、想定を超える児童生徒数の増加により、教室数を確保するにも苦慮されていると伺っております。
 こうした中、県と四国中央市では、平成30年5月の新居浜特別支援学校分校開設に係る基本協定に基づき、教室不足の解消や長時間通学の負担軽減を図るため、市立三島小学校の分校開設に向け、現在、三島小学校の児童が使用する北校舎と、主に分校の生徒が使用する東校舎の改修工事を進めておられます。地域の子供は地域で育てるという地元の思いや、住みなれた地元で教育を受けたいと願う子供たち保護者の期待に応えるためにも、着実な教育環境の整備が望まれるところであります。

また、特別支援教育は、障がいのある子供たちへの教育にとどまらず、障がいの有無や特性の違いに関係なく、人々の多様なあり方を相互に認め合える社会を目指す重要な教育であります。平成27年度に新居浜西高等学校の敷地内に開設した新居浜特別支援学校川西分校では、両校の自然な形での交流が深まっていると聞いておりますが、今回開設する分校についても、両校の子供たちが自然に触れ合える環境をつくっていくことができるのではないかと期待が膨らむのであります。

そこで、お伺いします。

新居浜特別支援学校分校の開設に向けた進抜状況と、分校開設後に期待される教育効果はどうか、明らかにされたいのであります。

■答弁者:杉本寧土木部長

四国中央市立三島小学校の東校舎に開設予定の新居浜特別支援学校の分校につきましては、知的障がいのある子供を対象とした小中学部を設置することとし、令和3年4月の開設を目指して、四国中央市では、昨年10月に工事に着手し、同校舎の1階から3階部分に普通教室17室や作業室、図書室、パソコン室等を整備するための改修を行っておりまして、この改修工事費の2分の1を県費負担することとして、今議会に予算計上しているところでございます。

 また、児童生徒や保護者の通学負担を解消するためのスクールバス2台を配備すると共に、開設後の教育活動等に必要な備品等を整備することとしておりますほか、四国中央市在住の保護者や福祉関係者、特別支援学級担任等を対象とした説明会を実施し、施設設備や教育の内容、今後のスケジュール等についての情報提供を行うなど、児童生徒の受け入れに向けて、きめ細かく対応しているところでございます。

市町立小中学校を活用した県立特別支援学校の分校設置は、中四国では初めてであり、障がいのある子供とない子供がともに学ぶ共生社会の形成に向けたモデルとして、分校開設後は両校の児童生徒の日常的、継続的なかかわりの中から相互理解が深まり、豊かな人間性や多様性を尊重する心の育成など、大きな教育効果が期待されますことから、両校の緊密な連携・協力による教育活動の充実を図ってまいりたいと考えております。

​質問7

県教育委員会においては、県立土居高等学校をどのように評価し、今後、どのように発展させていかれるのか

質問の第7は、県立土居高等学校についてであります。

私自身の母校であり、創立100周年の節目以来、同窓会長を務めさせていただいている県立土居高等学校は、令和3年度に創立120周年を迎える、県下で8番目に古い歴史と伝統ある、地元になくてはならない高等学校であります。 

一昨年の平成30年8月には、神戸市で開催された第10回全国高等学校観光選手権大会、通称観光甲子園の訪日部門で、同校の情報科学部の生徒が提案したツアープランが、グランプリの観光庁長官賞に輝き、優勝旗が初めて四国に渡ることができました。この大会は、全国の高校生が観光ツアープランを競い合うもので、全国87校、227チームの応募の中からグランプリに選ばれるという快挙でございました。

受賞したツアープランは、「BONSAIの聖地へ タイムスリップ」と題したもので、地元特産品の赤石五葉松盆栽の実技試験を中心に、紙のまちの伝統工芸品である伊予の水引や書道、水石の関川水、新宮茶など、関連する地域文化体験も組み込んだ6泊7日の体験ツアーを提案したものでした。また、地元の赤石五葉松盆栽組合の協力を得るだけにとどまらず、他県の盆栽産地の生産者や関係機関からの協力も得て、広域的なツアープランをするアイデアも、評価された大きなポイントであったと思われます。この受賞を機に、昨年には日本初となる高校生主導の企画による広域連携型インバウンド盆栽ツアーの商品化を実現し、多くの報道機関から取り上げられたところであります。

さらに、この取り組みが評価され、日本政策金融公庫主催の第7回高校生ビジネスプラン・グランプリにおいて、3年連続3度目の全国入選を果たすとともに、大分大学などが主催する高校生なるほどアイデアコンテスト2019においても、2年ぶり2度目の全国入賞を果たすなど、その活躍を誇らしく思っております。
 少子高齢化が進行し、地域の停滞が懸念される中、このような取り組みは、若い世代の地元への愛着の醸成や定着を促進させ、地域活性化にもつながるものとして大変重要であると考えるのであります。
そこで、お伺いいたします。
県教育委員会においては、県立土居高等学校をどのように評価し、今後、どのように発展させていかれるのか、明らかにされたいのであります。

■答弁者:杉本寧土木部長

土居高校につきましては、地域の活性化に資する多彩な活動の成果が各種コンテスト等での受賞につながるほか、昨年4月に就職した生徒のうち、8割を超える生徒が四国中央市内に就職するなど、将来、地域を支える人材が確実に地元に定着しており、県教育委員会としても 高く評価しているところでございます。

 同校では、教育課程に4種類のコースを設けて、生徒の多様な関心や進路希望に対応しており、特に、今年度開設した紙のまちづくりコースでは、日本一の紙のまち四国中央市を支える人材の育成を目指して、行政、研究機関と連携した体験学習や、企業と協働した水引細工の商品開発等の活動をさらに拡充し、製紙、紙加工から流通に至るまでの流れを深く学ぶこととしております。

 また、学校の農場を活用した幼児との交流体験、地元企業等と連携したインターンシップ、老人保健施設への訪問など、地元のよさを学べる教育に力を注いでおり、同校の教育活動の成果を大いに期待しているところでございます。

 県教育委員会といたしましては、少子化の進行を踏まえ、地域活性化の一翼を担う高校のあり方を議論していく中で、地域と密着した魅力ある学校づくりのモデルの一つとして、同校の取り組みを積極的に後押ししていきたいと考えております。

​質問8

赤石五葉松盆栽の海外販路拡大に向けた取り組み状況はどうか。また、今後、どのように取り組んでいかれるのか

質間の最後は、赤石五葉松盆栽の振興についてであります。
 かつて、私の祖父、故森高七助県議は、昭和46年9月28日、第144回県議会定例会において一般質問に立ち、主として日常生活の中で見聞している地域の問題を中心にお尋ねしたいと述べ、稲作転換対策や林業不振対策として、赤石五葉松の振興対策について質問をいたしました。当時の質問を抜粋しますと、農民はでき得る限り、土地の力を利用して生活する。言いかえれば、生活でき得るよう、収入が土地から生まれるように指導するのが本当の農政でなければならない。そこで、私は、本県の特産品である赤石五葉松の特徴を知っていただき、関係者に実態を把握していただくことで協力をお願いしたい。全国のこの道の業者や愛好者が日本一と折り紙をつけた赤石五葉松は、石鎚山系から東、法皇山脈赤石山の標高1,700mに自生し、親木が県の天然記念物に指定されている。釜栽用語ではあるが、赤石五葉松は、非常に荒皮性に富み、芽吹きがよく、葉の緑が濃く、葉裏の銀線が鮮やかで霜が深いという特徴があり、他県が追従できない本県の特産物であることから、本県の花卉振興の素材として取り上げる考えはないかと質問いたしました。この質間に対し、当時の白石春樹知事は、私は大賛成です。今後、これを伸ばすためには、生産組織の強化が必要で、技術の改善と普及並びに販路の開拓に十分に力を入れ、振興に尽くしたいと力強く答弁されているのであります。
 自来48年経過し、時代も移り変わり、グローバル化の進展により、訪日外国人客も右肩上がりに増加している中、EUを中心に、盆栽の海外での市場ニーズが高まってきております。9月補正予算に続いて、来年度当初予算案にも、赤石五葉松金裁に係る経費が計上されておりますことは、大変心強く思いますが、国内市場における動きが鈍い中、海外ニーズを確実に取り込むことが産地の維時、発展のためには重要であり、さきの土居高等学校の取り組みなどとともに連携しながら、他県には追随できない赤石五葉松盆栽のブランド化や販路拡大に取り組んでいただきたいと望む次第であります。

そして、孫である私が、この問題で質問に立つことの喜びを実感しつつお伺いいたします。赤石五葉松盆栽の海外販路拡大に向けた取り組み状況はどうか。また、今後、どのように取り組んでいかれるのか、明らかにされたいのであります。

■答弁者:田所竜二農林水産部長

日本三大五葉松に挙げられる赤石五葉松は、そのしなやかな枝ぶりや気品あるたたずまいから盆栽の女王とも呼ばれ、愛好者も多いですが、近年の住環境の変化や嗜好の多様化などにより、国内需要は低迷し、生産者の高齢化も進む中、本県が誇る貴重な地域資源として守り育てていくためには、新たな販路開拓によります需要の拡大と収益力の向上を図り、産地の活性化につなげていくことが必要と考えております。

 このため県では、EUで広がる盆栽人気に着目し、海外輸出にチャレンジする生産者を後押しするため、活動母体となる赤石五葉松輸出振興組合の設立を初め、生産者向け研修会の実施、市場ニーズの現地調査、植物検疫のための土壌研究など、生産から販売に至る一連の取り組みを支援するほか、昨年10月のローマ教皇への謁見と盆栽贈呈や、現地インポーター向けの営業活動をサポートするなど、支援の幅を広げているところでございます。

 来年度は、EUで開催される造園事業者向けの展示会に出展し、新たな販路の開拓に取り組みますとともに、現地でのアンテナショップの開設や、土居高校の活動内容も含めました産地紹介ホームぺージの作成など、多彩な事業展開を支援することで、赤石五葉松盆栽の輸出拡大を促進し、次世代にわたり継承される産地づくりを目指してまいりたいと考えております。

【終わりのあいさつ】

以上で質問は終わりますが、コロナウイルスとの戦争と評する専門家の論評もありましたが、議会としても、そのことを最優先して、理事者に対して議会運営に協力をしております。

県民生活に対する悪影響は、はかり知れず拡大していることを愛慮せざるを得ません。経済への悪影響も底なし感を禁じ得ません。トイレットペーパーの争奪に見られる風評被害もあり、正しく恐れる対処は、お互いに求められているところと思います。関係各位とともに、一日も早い終息を願い、考え得る役割をともに果たしてまいりましょう。そして、花見の季節にはにぎやかに楽しみたいものです。

bottom of page